糸杉のそれぞれの幹には数え切れないほどの蟬がしっかりとしがみついて、世界が終末に向って転がり始めたといった風に鳴きわめいていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:21% 作品を確認(amazon)
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蝉(せみ)
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前後の文章を含んだ引用
......ねと曲りながら遠くに見える門に通じていた。道の両側には糸杉と水銀灯が鉛筆たてみたいに等間隔に並んでいる。ゆっくり歩けば門までおそらく十五分くらいはかかるだろう。糸杉のそれぞれの幹には数え切れないほどの蟬がしっかりとしがみついて、世界が終末に向って転がり始めたといった風に鳴きわめいていた。 糸杉の並木の外側はきちんと刈り込まれた芝生で、その傾斜に沿ってどうだんつつじやらあじさいやらその他わけのわからない植物がとりとめもなく散らばっていた。むくどり......
単語の意味
終末(しゅうまつ)
蝉・蟬(せみ)
終末・・・終わり。ものごとの最後に行き着くところ。
蝉・蟬・・・1.セミ科の昆虫を総称。夏に鳴く虫の代表。羽を畳んで木に止まり、雄は高い声で鳴きたてる。幼虫は数年かかって成虫になるが、成虫の寿命は10日から20日と短い。
2.高いところに物を引き上げるときに使う、小さな滑車。
2.高いところに物を引き上げるときに使う、小さな滑車。
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蝉(せみ)の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
蟬が鳴きつづけていた。彼らは終りかけた季節を呼び戻すために、死にものぐるいで羽をこすりあわせていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
あの鳴き声(蝉)は、いやですねえ。何だか人間の声のようじゃないですか。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
雑木林から滝のように 蟬 の声が聞えて
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
なぜこれがひぐらしだと分かるのかと言えば、夕方の効果音として映画やゲームでお馴染みだからだ。カナカナカナという切なげな鳴き声は、実際には周囲360度からまんべんなく響いてきて、映画よりも余程映画らしい。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
裏の松林で鳴く油蝉が、濁った余韻のない響を、乾燥した空中にベルトのように吐き出していた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
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電球が鳴きだしたかと思われるような、すがれた蟋蟀(こおろぎ)の声
里見 トン / 極楽とんぼ―他一篇 amazon
雑木林から滝のように 蟬 の声が聞えて
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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