砂は眩（まぶし）いくらい白く

海の、波打際、といってもいいくらいに海にちかい岸辺

沈黙を包む波音は、夜が更けるとともにくっきりと鮮やかに聞こえてくるような気がした。目の前に開けた果てしなく大きな眺めが 鬱積 していたものをきれいに取り払い、きれいな大気が心を満たしていった。でも何か光るものがあって、いつまでも消えなかった。静かだった。永遠の、世界が終わるような、清らかな夜だった。

前を向いても上を見上げても、高層ビルのせいで空が小さく見えるニューヨークでの生活に倦んでいる洋子には、海上に広がる空の単純な大きさが、爽快に感じられた。

湾曲した海岸線に沿って並ぶ外灯と街明かりが、コンパスで描いた弧のように数キロも連なる

動かない海と、屹立した雲の景色は十四歳の私の眼に壁のように照り輝いて写った。

治郎吉の影は、もう、水面の下にかくれて、ただ一すじ、波の影だけが、北岸の方へよれて行った。

河口湖の湖面は、景色はそのままに映すのに、光だけはぼんやりと膨らませて映す。

頭上に広がる青空を 宛ら に映したような海原と彼方の海岸線

明るい、快活な、生き生きした海