外は、一面クローム鍍金をしたように、光の中でかすんでいた。

ひとりのときに部屋を貫くように差し込んでくる太陽は嫌いだ。ひとりのあたしに、あたしはひとりだとまんまと思わせるからだ。窓から外を見たりなんかすると、アスファルトでさえ宝石でも紛れ込ませているかのようにきらきらしているように見える。太陽は、ひとりの自分を嫌いになるようにしむけてくる。

十坪程の表庭の草木は、硝子箱（ガラスばこ）の中の標本のように、くっきり茎目（くきめ）立って、一きわ明るい日暮れ前の光線に、形を截（き）り出されている。 「まるで真空のような夕方だ」

夜明けとも夕暮れともつかない薄明かり

太陽が、ギラギラとした光を投げていました。空は、水色というよりは、まぶしい大きな濃い火の粉の渦でした。

朝日がさしてゐる。さうして、そのまばゆい光に、光沢（つや）のいい毛皮を洗はせながら

太陽が照りつけて目を開けるのも困難

文化の燎原（りょうげん）に立ち昇（のぼ）る晩夏の陽炎（かげろう）

雲一つないくらい晴れきった日

塔の屋根には霜が下りているせいであろう。まだうすい朝日に、九輪（くりん）がまばゆく光っている。