風鈴が折々思い出したようにかすかに鳴る

薄い硝子（ガラス）の玉に、銀のメッキをした（風鈴）

リンと一つ、風鈴のような音

ベランダにぶら下がっている風鈴が、うるさいくらいにちりちり揺れた。

風鈴が、そっと私の心をなぶっていた。

黄熟した八月の暑熱が、じりじりと大地にしみいる

陽ざしが強く、白い土の道が真っ白に光っていた。

油照りのかあっとした天気

水のにおいは、夏が近づくにつれ濃くなっていく。 　いや、田んぼのにおいかもしれない。甘酸っぱくて、しっとりした重みのある、いつまでも嗅いでいたくなるようなにおいだ。街では、こういうにおいに気づいたことがない。栄養分たっぷりの土と若い緑に、澄んだ水が触れてはじめて生まれるにおいだ。

空は梅雨の到来をにおわせるような、のっぺりとした灰色の雲に覆われ