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職業・仕事の比喩を使った文章の一覧(77件)
中華料理のコックが思い切り息を吹き込んだペキンダックみたいに、みっともない格好
小林 信彦 / 神野推理氏の華麗な冒険 amazon
大きな風呂敷包みを背負って全国津々浦々を行商人のように歩く
有吉 佐和子 / 三婆 amazon
念入りに調教した馬のように美しい兵隊たち
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
教科書やテストという名の紙をだまって食べ続ける、がまん強い羊たち
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
海軍という閉ざされた世界の鋳型にはまる
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
浮浪者が筵(むしろ)の上に芋虫のように転がっている
山崎 豊子 / 暖簾 amazon
女が白衣の胸にはさんだ一輪の花が、血のように滲んでいる。
鈴木 三重吉 / 千鳥 amazon
水の中で金魚が凍るように、彼ら(マストのペンキ塗り)は、宙天の空気の中で凍りそうであった。
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
捜査の指揮を執るのは風祭警部なのだ。迷宮入りの匂いがする
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで amazon
宝生家の屋敷にあまたいる使用人のひとり
東川篤哉 / 謎解きはディナーのあとで amazon
ダークスーツに身を固め直立不動の体勢をとるその姿は、優秀なボディガード、もしくは忠実な番犬を思わせた。
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで amazon
容疑者をいたぶる際に見せる、爬虫類的な嫌らしい感じ
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで 2 amazon
芥川賞でもとったら、ちょっとした話題になると思わないか。マスコミは夕暮れどきのコウモリの群れみたいに頭上を飛び回るだろう。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
彼は数学の問題の解き方を実際的に有効に教授するのと同時に、その設問の中に秘められているロマンスを華やかに開示した。天吾は教室を見まわし、十七歳か十八歳の少女たちの何人かが、敬意をこめた目で自分をじっと見ていることを知った。彼は自分が数学というチャンネルを通して、彼女たちを誘惑していることを知った。彼の弁舌は一種の知的な前戯だった。関数が背中を撫で、定理が温かい息を耳に吐きかける。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
フリーのライターだかジャーナリストだかが、血の臭いを嗅ぎつけた鮫みたいにうようよ集まってくる。小さなボートが鮫の群れに取り囲まれている情景を、天吾は頭の中で想像した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
男の肩をしぼりあげた。最初はゆっくりと、それから真剣に力を込めて。男の身体が痛みを感じているのがわかった。それもかなりの痛みだ。どんな人間でもうめき声くらいは上げる。しかし男はまったく声を出さなかった。呼吸も乱れなかった。顔をしかめている様子もない。我慢強いのだ、と青豆は思った。どこまで相手が我慢できるか、青豆は試してみることにした。更に遠慮なく力を入れると、肩脚骨の関節がやがてごきっという鈍い音を立てた。線路のポイントが切り換えられるような手応えがあった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼女は男の全身の筋肉を手順に従って解きほぐしていった。すべてのポイントは彼女の頭の中のチェック・リストに記入されている。そのルートを機械的に、順序通りたどっていけばいいだけだ。夜中に懐中電灯を持ってビルを巡回する、有能な恐れを知らぬ警備員のように。
どの筋肉も多かれ少なかれ、詰まっていた。厳しい災害に襲われたあとの土地みたいだ。多くの水路が堰き止められ、堤が崩されている。@略@彼女はそれらの筋肉をひとつひとつ締め上げ、強制的に動かし、極限まで曲げたり伸ばしたりした。そのたびに関節が鈍い音を立てた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
青豆は頭を空っぽにして、一心に男の筋肉に取り組んだ。彼女の職業的記憶には、人体のすべての筋肉の成り立ちが刻み込まれていた。それぞれの筋肉がどのような機能を果たし、どのような骨に結びついているか。どのような特質を持ち、どのような感覚を備えているか。それらの筋肉や関節を青豆は順番に点検し、揺り動かし、効果的に締め上げていった。仕事熱心な宗教裁判の審問官たちが、人体のあらゆる痛点をくまなく試していくのと同じように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
まっ暗な部屋の中で物音を立てないように留意しながら、手探りで一枚の硬貨を求めるような作業だ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
硬い髪に白髪が混じりかけていて、年齢は五十前後だろう。何かの作業をしていたらしく、白衣は着ていなかった。グレーのスエットシャツに、お揃いのスエットパンツ、履き古したジョギング・シューズという格好で、体格も良く、療養所の医師というよりは、二部リーグからどうしても上がることのできない大学運動部のコーチのように見えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
作家は着実に書き続けることによってしか成長しない。毛虫が葉っぱを食べるのを休まないのと同じだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
プロ(の探偵)というのは猟犬と同じだ。普通の人間には嗅ぎ取れない匂いを嗅ぎとり、普通の人間には聞こえない音を聞きとる
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
ツボ師は、時に金脈を探すゴールド・ハンターのように、時に油田を探すオイル・ハンターのように、また時にトリュフを探す鼻のいいブタのように、次々と私のツボを掘り当てては容赦なく押しまくった。
さくら ももこ / もものかんづめ amazon
唇を心の出先機関のように考えて、キスを拒む娼婦もいる。
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
昼間はどぶ鼠となってエリート社員の演技をし
筒井 康隆 / 夢の木坂分岐点 amazon
蟻が、自分たちの道を決して見失わず、それからそれと、仲間の領分をひろげるように、家から家、村から町を縫いつないで、細かな商売を積み重ねる薬売り
永井竜男 / 風ふたたび「永井龍男全集 5 長篇小説 1」に収録 amazon
骸骨のようにひからびた浮浪者
安部 公房 / 死んだ娘が歌った「R62号の発明・鉛の卵 (新潮文庫)」に収録 amazon
忠誠心の不足が部内の非難のまととなり、猿に士官服を着せたようなものだとまで言っている向きもある
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
奴隷のように死にむかって積みだされてゆく自分のみじめさ
大岡 昇平 / 俘虜記 amazon
老僧の、枯れ木のように無抵抗な姿
武田 泰淳 / 異形の者 (1951年) amazon
同じような間隔で兵隊が並んでいる@略@感覚からすれば丁度合せ鏡をしたような印象だった。
木山 捷平 / 長春五馬路 amazon
朴訥にして土のごとき農夫ら
火野 葦平 / 土と兵隊・麦と兵隊 amazon
草原を駈ける若い獣のような、健やかに強い体臭を発散する、素朴な百姓であるこの若者
大原 富枝 / 婉という女 amazon
見世物師が蜘蛛のように小屋がけをしている。
中 勘助 / 銀の匙 amazon
ピカピカ手ずれのした黒い鞄の中から、まるで手品のように、色んな変った薬を出して
林 芙美子 / 風琴と魚の町 amazon
彼女等は潜水が度重なるにつれ、藍壺に浸される布のように一度は一度増しに本能の濃さを加えられて陸へ上る。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
押しつけるように聴診器を当てた。すると、まるでその軽い一と押しがピリオドを打ったように呼吸は止った。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
雑巾のようにつぎの当ったあの三装略衣(さんぞうりゃくい)
野間 宏 / 真空地帯 (1956年) amazon
この僧は六十近い、丸顔の、達磨を草書に崩したような容貌を有している。
夏目 漱石 / 草枕 amazon
花のような修学旅行の女学生の一団
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛(新潮文庫)」に収録 amazon
あだかも燕が同じような勢揃いで、互いに群れをなして時季を違えず遠いところからやって来るように、
島崎 藤村 / 千曲川のスケッチ amazon
少年の感度の強い、ナイフの刃のような危険なかんじ
由起 しげ子 / 女中ッ子・この道の果に (1955年) amazon
道っ端に犬ころみたいにころがっているルンペン
阿部 知二 / 冬の宿 (1948年) amazon
樫の棍棒を持った士官が三人出迎えに来ていて、「これからお前たちを徹底的に締めあげるから、その覚悟をしていろ」という挨拶をした。ちょっと暴力団に盃をしに来たような気持がした。
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
夕闇の中に診察着をきた一人の男が夕顔のように白く近よってくる
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
白衣が煮しめたように色づいている。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
死の灯影(ほかげ)の廻りを飛び交う蛾のごとし
福永 武彦 / 草の花 amazon
命令を耳にすると同時に、陽気なイナゴのようにとびたって
林 房雄 / 青年〈上〉 (1951年) amazon
外国遊覧に行く財産家のように泰然として
石川 達三 / 蒼氓 amazon
彼はまるで顎を上へあげて、子供のようにいばりちらしだしそう
野間 宏 / 真空地帯 amazon
兵隊が、カアキ色の波のように群れ
上林 暁 / 野「上林暁全集〈第3巻〉小説(3)」に収録 amazon
梢をわたる小鳥のように自由で、奔放で、美しい声を持っていた。
山田克郎 / 壮士行
道詮和尚は、まるで桃いろのお菓子みたいに見えた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
新しい制服の生徒たちの群れを眼を細めて眺めていた。まるで自分の子供たちが家へ帰って来たのを門に立って待っている父親のようにゆたかな楽しい気持であった。
石川 達三 / 三代の矜持 (1961年) amazon
指から旭の光りの放たれるような幻想を持つ
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
轟くような大声で話す和尚には、私の心にひびくやさしさがある。世の常のやさしさではなく、村はずれの、旅人に木陰の憩いを与える大樹の荒々しい根方のようなやさしさである。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
漂白されたような老僧
武田 泰淳 / 異形の者 (1951年) amazon
出口を見つけた溜まり水が勢いよく流れ出すように、マスコミはそれに飛びついた。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
彼女は敵意をき出しにしていた。@略@その身体に、見えない針が一斉に逆立つのが分かった。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
罵声を浴びせた記者を排除しようとSPが腕を摑んだが、最前線のひとりが倒れても、サメの歯のように背後から記者が詰めるだけのことで、そんなものは焼け石に水なのであった。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
警察に呼ばれて調べを受けました。疑われたのです。彼が行方不明になる前後五日間の生活について聞かれました。彼と交わした会話の一言一言、読んだ本のぺージ数とあらすじ、掛かってきた電話の相手と用件、食事のメニュー、トイレの回数、もう徹底的です。そういう事柄を一つ一つ文章にし、書き写し、推敲し、読み直すのです。海岸の砂を一粒一粒選り分けていくようなものです。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
男は百近いティッシュを手渡すことに成功し、それにしても手にティッシュを持っていなかったらなんだかへんな踊りをしてるみたいに見える
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
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