眼は引込んで、はっきりと二タ皮になっていた。彼は何かしら 苛 々 しながら肉体からも精神からも来る 凋残 な気持に自身を浸し尽して、却ってだらしなく絶えず 饒舌 っていた。
志賀直哉「暗夜行路 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:4% 作品を確認(amazon)
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気がゆるむ
疲れた顔
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前後の文章を含んだ引用
......与えようとした阪口の低級な底意に尚腹を立てた。 三時、四時になると戸外も静まって来た。雨も小降りになって、地面を突きながら廻る鉄棒の響きが冴えて聴えた。 阪口の眼は引込んで、はっきりと二タ皮になっていた。彼は何かしら苛々しながら肉体からも精神からも来る凋残な気持に自身を浸し尽して、却ってだらしなく絶えず饒舌っていた。 夜が明け始めた。疲れと酔いとで、竜岡も阪口も、もうそこへ寝ころんで、うとうととしていた。豊は縁へ出て、秋らしい静かな雨の中を帰って行く人々をぼんやり眺めていた......
単語の意味
肉体(にくたい)
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
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気がゆるむの表現・描写・類語(安心するのカテゴリ)の一覧 ランダム5
伸子は次第にくつろぎと楽しさが心や体にしみこむのを感じた。
宮本百合子 / 伸子
膨らんだ風船から空気がすっと抜けるように、力みが消えた。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
一歩あるくたびに、体じゅうの関節がダルくゆるみはじめるような気がした
安岡章太郎 / 海辺の光景 amazon
いかにも重荷の下りた風で、 「やあ、どうも御苦労様でした」 と、頭を下げ椅子をずらした。
宮本百合子 / 伸子
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疲れた顔の表現・描写・類語(顔のカテゴリ)の一覧 ランダム5
岡本かの子 / 金魚撩乱
女子学生は、非常に老けた、疲れきった表情をしていて、それは病気の鳥のような感じだった。
大江 健三郎 / 死者の奢り amazon
浮腫んだ肌には艶がなく、酷く疲れた目をしていた。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
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「安心する」カテゴリからランダム5
人間の話でいちばん面白いのは自慢話で、誰でも何かしら自慢するときは「俺だけが知っている」といった調子で躍動感を持って話すものです。まさに〝絶口調〟といった面持ちで。
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
「顔」カテゴリからランダム5
コンパクトは飛ばされて、ねりかためられた粉も鏡も粉々になって割れてしまって、それは遠くから見るとひからびた小動物の骨のようにも見えた。
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
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