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一つの丘から野火が上っていた。海草のように揺れながら、どこまでもどこまでも、無限に高く延びていた。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 ページ位置:89% 作品を確認(amazon)
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狼煙(のろし) けむり
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前後の文章を含んだ引用
......使なら、何故私はこう悲しいのであろう。もはや地上の何者にも縛られないはずの私の中が、何故こう不安と恐怖に充たされているのであろう。何か間違いがなければよいが。 一つの丘から野火が上っていた。海草のように揺れながら、どこまでもどこまでも、無限に高く延びていた。 太陽は何処にいる。神のように、あの空の上、空間を充たした水のまた上にいるはずだ。 丘の頂上の草は、水の流れに押されて、靡いていた。そして火は頂上を取り巻く低く......
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林芙美子 / 新版 放浪記
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