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(夜の港)舷の触れ合う音、とも綱の張る音、睡たげな船の灯、すべてが暗く静かにそして内輪で、なごやかな感傷を誘った。
梶井基次郎 / 冬の蠅 ページ位置:91% 作品を確認(青空文庫)
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漁港・波止場
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前後の文章を含んだ引用
......を払ったまま、港のありかをきいて外へ出てしまったのである。  私は近くの沖にゆっくり明滅している廻転燈台の火を眺めながら、永い絵巻のような夜の終わりを感じていた。舷の触れ合う音、とも綱の張る音、睡たげな船の灯、すべてが暗く静かにそして内輪で、なごやかな感傷を誘った。どこかに捜して宿をとろうか、それとも今の女のところへ帰ってゆこうか、それはいずれにしても私の憎悪に充ちた荒々しい心はこの港の埠頭ふとうで尽きていた。ながい間私はそこに......
単語の意味
感傷(かんしょう)
内輪(うちわ)
感傷・・・心を痛めること。心が感じやすく、傷つきやすいこと。
内輪・・・1.内部または家族とごく近い親類の者。外部の者を交えないこと。内内(うちうち)。身内。
2.外部には知らせない内部の事情。内幕(うちまく)。内裏(うちうら)。内緒(ないしょ)。
3.実際より小さめ(少なめ)なこと。特に、数量や金額などを控えめにすること。また、そのさま。「内輪に見積もる」
4.つま先を内側に向けて歩くこと。また、その足。内鰐(うちわに)。内股(うちまた)。 ⇔ 外輪(そとわ)。
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