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(廃倉庫)のっぺりとしたコンクリートの壁には冷凍倉庫に使われていたころの名残りの配線や鉛管がもぎり取られたままところどころにぶら下がっていた。様々な機械やメーターやジャンクション・ボックス、スイッチのあとには、それらがまるで巨大な力でむりやりむしりとられたかのように、ぽっかりと穴があいていた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 ページ位置:86% 作品を確認(amazon)
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廃墟・廃屋・瓦礫の山
納屋・倉庫・物置
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......をよみがえらせる電源スイッチが存在するはずだ。……スイッチ、捜すんだ。 僕は両手をブルー・ジーンのポケットにつっこんだまま建物の壁に沿ってゆっくりと歩いてみた。のっぺりとしたコンクリートの壁には冷凍倉庫に使われていたころの名残りの配線や鉛管がもぎり取られたままところどころにぶら下がっていた。様々な機械やメーターやジャンクション・ボックス、スイッチのあとには、それらがまるで巨大な力でむりやりむしりとられたかのように、ぽっかりと穴があいていた。壁は遠くでみるよりずっとヌメヌメとしていた。巨大ななめくじの這ったあとのようだった。実際に歩いてみると建物はひどく広い。養鶏場の冷凍倉庫にしては異様に広かった。......
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納屋は南向きの一面の日なたに、万石や唐箕や殻臼(からうす)などこれから使う農具を、まるで臓物のように孕んでいるのであった。
和田伝 / 和田伝全集 第2巻 amazon
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白堊(はくあ)が、ゴミゴミした黝(くろ)い甍(いらか)の上に聳(そび)え立っていた。それは、早春の土を破った、草の芽のような力を感じさせた。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
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(取調室で自白するまで長々と取調べを受ける。書類を書けだの役所のルールもわずらわしい)ここでは人々があらゆる手段を使って人間の自我や感情や誇りや信念を圧殺しようとする。目に見える傷が残らないように心理的にこづきまわし、蟻の巣のような官僚的迷路を引きずり回し、人が抱く不安感を最大限に利用する。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
(夜の病院)まだ八時前だというのに外来受付の明かりが消されてしまった待合ホールは、薄暗い蛍光灯の中、古びたベンチが並んでいる。 昼間、ここで百人を超す人々が順番待ちをしていたとは思えないほど狭い。 人々の姿が消え、夜間の待合ホールに残されているのは、古びたベンチと、カラフルなペンキで床に示された各病棟への矢印だけだ。 ピンク色の矢印は産婦人科へ。黄色い矢印は小児科へ。そら色の矢印は脳外科へ。 薄暗い蛍光灯の下、カラフルな矢印だけが華やいで見える。カラフルな矢印だけが場違いに見える。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
洋子がホールに到着した時には、既に客席の人の潮は満ちつつあった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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