象のいない象舎はどことなく不自然だった。必要以上にがらんとして無表情で、それは臓物を抜かれて乾燥された巨大生物のように見えた。
村上 春樹 / 象の消滅「新装版 パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:3% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......につき、それから「町民のあいだに不安強まる。管理責任追及の声も」という一段小さな見出しが続いていた。何人かの警官が象のいない象舎を検証している写真も載っていた。象のいない象舎はどことなく不自然だった。必要以上にがらんとして無表情で、それは臓物を抜かれて乾燥された巨大生物のように見えた。 僕はページの上に落ちたパン屑を払い、その記事の一行一行を注意深く読んだ。記事によれば人々が象のいないことに気づいたのは五月十八日の午後の二時であった。いつもの......
単語の意味
臓物(ぞうもつ)
何処とも無く(どこともなく)
臓物・・・内臓。とくに食用の動物、鳥、魚などのはらわた。ホルモン。
何処とも無く・・・はっきりとした場所は言えないが、なんとなく。どことなく。
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空き家の表現・描写・類語(家・建物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(空き家に入る)主のいない家は沈黙していた。電気もガスも切れていることが空気を通して分かるような、そんな生命感のなさが感じられた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
勝手口を開けてみると、錆 びた鑵詰 のかんからがゴロゴロ散らかっていて、座敷の畳が泥で汚れていた。昼間の空家は淋しいものだ。薄い人の影があそこにもここにもたたずんでいるようで、寒さがしみじみとこたえて来る。
林芙美子 / 新版 放浪記
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そこだけが水溜 りのようにポツンと空いた棚
小林多喜二 / 蟹工船
難破船みたようなガランドウ
夢野久作 / ドグラ・マグラ
動物たちがみんな一匹残らず姿を消してしまった廃墟の如き動物園
村上 春樹 / 象の消滅「新装版 パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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十ほどあるその窓のあるものは明るくあるものは暗く閉 ざされている。
梶井基次郎 / ある崖上の感情
煙突がついていて、小さなポーチがある、窓にはギンガム・チェックのカーテンがかかっている。要するにけっこうフレンドリーな外観。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
高層のビル群は、重く低い灰色の雲を支えて視界の辺縁に寒々と立ちすくんでいる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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