高層のビル群は、重く低い灰色の雲を支えて視界の辺縁に寒々と立ちすくんでいる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:92% 作品を確認(amazon)
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ビル・建物
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前後の文章を含んだ引用
...... 曇っているせいか、昼間だというのに南側のマンションの窓の幾つかに灯りが点っている。今日は風がない。ときおり頭上を飛び過ぎるカラスもどうしてかひと声も鳴かない。高層のビル群は、重く低い灰色の雲を支えて視界の辺縁に寒々と立ちすくんでいる。 いつものようにベンチに腰をおろして、いつものように水島のことを考えはじめる。すぐに一種の忘我状態に陥って、水島のこと以外は何ひとつ考えるべきことを思いつけなく......
単語の意味
立ちすくむ(たちすくむ)
立ちすくむ・・・驚きや恐怖で身動きが取れなくなり立ち続けること。立ったまま動けなくなること。
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(壁が全部ガラスで入口のないビル)入口というものがないんだ。まるで巨大な金魚鉢みたいにね
村上春樹 / 双子と沈んだ大陸「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
灯のともった切抜万燈のように、沢山の窓があり、その内部は燈火で煌 いている。
宮本百合子 / 伸子
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外観と同じく、離れの内部もやはり寒々としていた。ダイニングキッチンと書斎兼寝室の二部屋しかないのだが、狭さよりも味気なさの方が目立っていた。家具はどれも安物で、壁紙はくすみ、廊下は気味の悪い音を立てて軋んだ。また呼び鈴だけでなくあらゆるものが壊れるか、壊れそうになっていた。トイレの小窓にはひびが入り、勝手口のドアノブは半分取れかけ、食器戸棚の上にあるラジオは、いくらスイッチを押しても鳴らなかった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
不健康な住居
宮本百合子 / 伸子
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