TOP > 風景表現 > >


カテゴリ検索 単語の意味
山に遅い春が来て、裸の木々が一斉に芽吹くとき。その寸前に、枝の先がぽやぽやと薄明るく見えるひとときがある。ほんのりと赤みを帯びたたくさんの枝々のせいで、山全体が発光しているかのような光景を僕は毎年のように見てきた。山が燃える幻の炎を目にし、圧倒されて立ちすくみながら、何もできない。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 ページ位置:7% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......い切り力を込めた真っ赤な顔に寄る皺は、それ自体が強い意志を持つ生きもののようで、そばで見るとどきどきした。あれもたしかに美しかった。 それから、たとえば裸の木。山に遅い春が来て、裸の木々が一斉に芽吹くとき。その寸前に、枝の先がぽやぽやと薄明るく見えるひとときがある。ほんのりと赤みを帯びたたくさんの枝々のせいで、山全体が発光しているかのような光景を僕は毎年のように見てきた。山が燃える幻の炎を目にし、圧倒されて立ちすくみながら、何もできない。何もできないことが、かえってうれしかった。ただ足を止め、深呼吸をする。春が来る、森がこれから若葉で覆われる、たしかな予感に胸を躍らせた。 今もあまり変わらないの......
単語の意味
立ちすくむ(たちすくむ)
燃える(もえる)
圧倒(あっとう)
光景(こうけい)
立ちすくむ・・・驚きや恐怖で身動きが取れなくなり立ち続けること。立ったまま動けなくなること。
燃える・・・1.物に火がつく。燃焼する。
2.気持ちが高ぶる。熱中する。
圧倒・・・ひときわ優れた力を持っていること。他よりとても勝っていること。また、その力で相手を押さえつけること。
光景・・・1.目に前に広がる景色。そこに見える景色や物事のありさま。景色。様子。
2.日の光。
ここに意味を表示
春の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
淡い新緑が粉を噴いているように見える
林 芙美子 / 晩菊・水仙・白鷺 amazon
このカテゴリを全部見る
「春」カテゴリからランダム5
春が近づいてから降る雪は湿って重い。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon関連カテ晩冬・春先
カテゴリ検索 単語の意味
同じカテゴリの表現一覧
春 の表現の一覧 
風景表現 大カテゴリ
表現の大区分