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赤児は指でも触れたら、一緒に皮がむけて来そうな唇を一種の鋭敏さをもって動かしていたが、それを開けると、急に顔中を皺にして泣き出した。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:65% 作品を確認(amazon)
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......っと失望した。「男だからいいようなものの、少し変な顔だな」と彼は笑った。「どんな赤さんでも初めは皆そうで厶いますわ」看護婦は謙作の言葉を非難するように云った。 赤児は指でも触れたら、一緒に皮がむけて来そうな唇を一種の鋭敏さをもって動かしていたが、それを開けると、急に顔中を皺にして泣き出した。 直子は首だけそっちへ向け、手を差し延べて、産着のふくれ上った肩を指で押し下げるようにして見ていた。その眼がいかにも穏やかで、そしてそれはいかにも、もう母親だっ......
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