風なんて本当にひとかけらも吹いてはいなかった
村上春樹 / ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:12% 作品を確認(amazon)
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無風・風がない
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前後の文章を含んだ引用
......ことについて僕は溶鉱炉のふたにも似た頑丈で確実な記憶を有している。そのとき僕は「こんな風のない日には洗濯ものをピンチでとめる必要もないな」とふと思ったからだ。 風なんて本当にひとかけらも吹いてはいなかったのだ。 僕は洗濯ものを手際よくたたんで積みあげてから、アパートの窓をぜんぶきちんと閉めてまわった。窓をぜんぶ閉めてしまうと、風の音はもう殆んど聞こえなくなった。......
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無風・風がないの表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ぼくらの前には池が広がっていた。風はない。水面に落ちた木の葉は、そこにぴたりと張りつけられたみたいなかっこうで浮かんでいた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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水の辺 に立枯れてゐる蓬 の葉を、ゆする程の風もない。
芥川龍之介 / 芋粥
雪催(もよ)いの風は鋭く頬を削った。その針はどんな防寒具でも通すのだから、水夫の仕事着などは、蚊帳(かや)のようであった。
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
むきだしのふくらはぎを洗うように、足元で風が渦巻いた。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
麦わら帽子が、その風にさらわれた。あっと叫んだ時には、もうかなり高く舞い上がり、そのまま、海へと運ばれていく。波の上に、ふわりとかぶさった。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
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