(俺には良心がないのだろうか。俺だけではなくほかの連中もみな、このように自分の犯した行為に無感動なのだろうか) 堕ちる所まで堕ちたという気持だけが彼の胸をしめつけた。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:89% 作品を確認(amazon)
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......まぶしく反射した。罅のはいった手術台の上に小さなガーゼが一枚、落ちていた。赤黒い血の痕がついている。それを見ても戸田の心には今更、特別な心の疼きは起きてこない。 堕ちる所まで堕ちたという気持だけが彼の胸をしめつけた。彼は電気を消してふたたび、廊下に戻った。 夕闇が既にその廊下をつつんでいる。戸田は歩きかけて、むこうの階段にひびく固い跫音を聞いた。その跫音は階段をゆっくりと登......
単語の意味
胸(むね)
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残酷・非道の表現・描写・類語(性格・態度のカテゴリ)の一覧 ランダム5
畜生より、無残なやつ
芥川龍之介 / 偸盗
(幼子を殺した)誘拐犯はとうてい人間ではなく、地の奥底に潜む誘拐魔にも思える
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
猫が鼠をじらすような、残酷な気持ちが、美種子夫人の胸の中に
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
貴族的な残忍さではなく、人間が家畜や動物にもつ残忍さをその番人も持っている
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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犯罪・不正・悪事の表現・描写・類語(失敗・損失のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(性犯罪)真っ当に生きてきた四十代、五十代が危うい。セックスはいけないこと。子供時代に植えつけられた倫理観が強ければ強いほど、それに忠実であろうとすればするほど、性に対する執着は強まるものなのだ。四方から洪水のごとく押し寄せる性情報のただ中で、ある日突然、歯ぎしりする。「俺は損をした」。自分が生きてきた時代に復讐するかのように性を追い、貪り、溺れ、仕事も家庭もなくしていく男たちが跡を絶たない。
横山 秀夫 / 半落ち amazon
強盗に身を落して、利欲のために人を殺してはいるものの、悪鬼のように相手の骨までは、しゃぶらなかった
菊池 寛 / 恩讐の彼方に amazon
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「失敗・損失」カテゴリからランダム5
毛糸がほつれるように次から次へと問題が現れる
阿佐田 哲也 / 麻雀放浪記〈1〉青春篇 amazon
現実から目を逸らす最上の方法は、すべてを逆さまにすることなのかもしれない。「妻は生きている」と言っている限り、本人にとっては、それが真実だ。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
自分が慎重に運んでいた卵がすべて落ちて、割れたような感覚に襲われ
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
「性格・態度」カテゴリからランダム5
当初の印象を言えば、性格のおとなしそうな無口な娘だった。だが、それだけにどこか心の 裡 を他人に明かさない〝陰の部分〟を抱いているふうな様子がなくもなかった。 その印象は今でもずっと続いている。一緒に暮らしていても、濁った水底を透かすようなもどかしさを覚えることがある。
阿刀田 高 / 裏側「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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