空腹は今では痛みに近いものになっていた。肉を焼いたり、魚をあぶったりする香ばしい匂いがどこからともなく漂ってきて、陽気な拷問者のようにぼくの内臓を締め上げた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:42% 作品を確認(amazon)
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空腹・餓え・お腹が鳴る
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前後の文章を含んだ引用
......閉じ、もう一度あたりを見まわしてみた。カフェに座った老人たちは、長期的な視力のテストでもしているみたいにまだ飽きもせずに海を眺めていた。時刻はもう八時をまわり、空腹は今では痛みに近いものになっていた。肉を焼いたり、魚をあぶったりする香ばしい匂いがどこからともなく漂ってきて、陽気な拷問者のようにぼくの内臓を締め上げた。ぼくが耐えかねて椅子から立ち上がり、レストランを探しに行こうとバッグを手に取ったとき、一人の女性が静かに姿を見せた。 その女は、ようやく西の海上に傾きかけた太陽......
単語の意味
陽気(ようき)
空腹(くうふく)
陽気・・・1.天候。時候。
2.万物が動き、生まれ出ようとする気。陽の気。
2.万物が動き、生まれ出ようとする気。陽の気。
空腹・・・腹が空(す)くこと。腹がへっていること。空き腹(すきはら)。空きっ腹(すきっぱら)。 ⇔ 満腹(まんぷく)。
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(缶ビールとバター・クッキーだけでは満たされないお腹)残念ながら缶ビールもバター・クッキーも、空から見たシナイ半島のごとき 茫漠 とした我々の空腹には何の痕跡も遺さなかった。それらはみすぼらしい風景の一部のように窓の外を素速く通りすぎていっただけだった。
村上春樹 / パン屋再襲撃「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
一日中食べることばかり考えてる。戦争中の子供みたいに
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
夕方になると、朝から何も食べていない二人は、暗い部屋にうずくまって当 のない原稿を書いた。
林芙美子 / 新版 放浪記
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悪魔に追いかけられているかのように、ものすごい勢いで飛び込んでくる
ロナルド・マンソン / ファン・メイル (上) amazon
「どぶろく」の酔いが空いている腸の中へ喰い入るようである。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
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