底の見えない無闇な悲しみに身を委ねる
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:53% 作品を確認(amazon)
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悲しい・悲しみ
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......えられる自分に、洋子はある意味、驚いた。それもまた、年齢的な変化なのだろうか? それとも元々、愛とは違った何かだったのだろうか? 洋子は悲しかった。しかし、その底の見えない無闇な悲しみに身を委ねることが、今は恐かった。先ほどのフラッシュバックは、何か今までとは違って、思い出すというより、からだごと、あのイラクでの記憶の中に飲み込まれてしまったかのようだっ......
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ガスのように抜けて行く悲しみの氾濫
林芙美子 / 新版 放浪記
肉体的な痛みのような悲しさ
宮本百合子 / 伸子
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(大切な人が消えてしまって)そこでぼくが感じたのはたとえようもなく深い 寂寥 だった。気がつくといつの間にか、ぼくを取り囲んだ世界からいくつかの色が永遠に失われてしまっていた。そのがらんとした感情の廃墟の、うらぶれた山頂から、自分の人生をはるか先まで見渡すことができた。それは子供の頃に空想科学小説の挿し絵で見た、無人の惑星の荒涼とした風景に似ていた。そこにはいかなる生命の気配もなかった。一日はおそろしく長く、大気の温度は暑すぎるか寒すぎるかどちらかだった。ぼくをそこまで運んできたはずの乗り物は、いつの間にか姿を消してしまっていた。もうほかのどこにも行けない。そこでなんとか、自分の力で生きのびていくしかないのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
今殺されようとしている美しい獣のようにあわれ
円地 文子 / 女坂 amazon
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