(ひぐらし)カナカナカナカナ 美しいから物悲しい声が、あたしたちの上に降り注いでくる。《…略…》夏の盛りが、秋のとば口なのだと告げる鳴き声だ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 ページ位置:18% 作品を確認(amazon)
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蝉(せみ)
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......粉が降りかかったらしい。真央が慌ててバケツの水を差し出す。 ふいに蟬が鳴いた。蜩だ。椎の樹で眠っていたらしい。あまりの騒がしさに起こされたのか、寝ぼけたのか。 カナカナカナカナ 美しいから物悲しい声が、あたしたちの上に降り注いでくる。そういえば、染子が死んだ日も、この蟬が鳴いていた。夏の盛りが、秋のとば口なのだと告げる鳴き声だ。 カナカナカナカナ カナカナカナカナ 花火が終わった。椎の樹の下は暗く、煙と匂いだけが漂う。もう火花はない。 明日、睦月が帰ってくる。 樹を見上げる。晴れている......
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蝉(せみ)の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
遠い林の中でニイニイ蝉が痺れるような声で鳴いている。
古井 由吉 / 谷「川端康成文学賞全作品〈2〉」に収録 amazon
池のまわりの木立から蝉の声が遠い海鳴りのように巨大なかたまりになってかれらにおしよせてくる。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
真上から、直射日光を残された四人にあてている。土下座した四人の影が黒く地面にうつり、蟬がまた、その光った空気を裂くように鳴きはじめる。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
裏の松林で鳴く油蝉が、濁った余韻のない響を、乾燥した空中にベルトのように吐き出していた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
林に囲まれたこぢんまりしたお寺で、せみの声が何重にも渦を巻いていた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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(こおろぎの)雄の、羽根を擦り合せている音は、まるで小声で女を呼ぶような甘くて物悲しいものであった
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
真っ昼間から蚊だの蝿だのがぶんぶん呻って、とても暑くってやり切れやしない
谷崎潤一郎 / 痴人の愛 amazon
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