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石段を、一つずつ数えるように上がって
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:29% 作品を確認(青空文庫)
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階段をのぼる・おりる
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......ない。  彼は、入り口の布をあげて、うすぐらい家の中へ、せわしく一足ふみ入れた。        四  猪熊のばばに別れると、次郎は、重い心をいだきながら、立本寺りゅうほんじの門の石段を、一つずつ数えるように上がって、そのところどころ剥落はくらくした朱塗りの丸柱の下へ来て、疲れたように腰をおろした。さすがの夏の日も、斜めにつき出した、高いかわらにさえぎられて、ここまではさして来ない。後......
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