（お盆のＵターン・ラッシュ）高速道路をはるか 彼方 まで、夏の日差しに輝く 夥しい車両が埋め尽くしていた。

渋滞が堰を切ったように流れ出す

数珠 繫 ぎの車列

大通りを避けて脇道に入っても、その道も混んでいて、運転している隆大はいらついている。

夏休みのせいか、道がひどく混んでおり、ノロノロ運転が続いていた。

電車が間もなく発車するという早口の簡単なアナウンスがあり、やがて旧弊な大型動物が目覚めて身震いするみたいに、ぶるぶるという大げさな音を立てて車両のドアが閉まった。

トンネルに入ると車内のものはみなオレンジ色のライトに照らされる

むっと熱い車内、フロントグラスからは真っ白にかーっと光った一本道だけが見えた。ビルも並木もまぶしかった。

丸い赤色警光灯を覆面パトカーのルーフに装着し、サイレンのスイッチを入れた。途端に、耳を 聾する音響が響き渡った。一拍遅れて、前方を走行中の乗用車やトラックがハザードランプを点滅させて、次々と左側の路肩へ寄せてゆく。その様子を見計らうようにして、運転席の 柳 栄 次郎 巡査部長が前後左右を確認してからアクセルを踏み込んだ。

ただ小さな蒸気船が石油くさい波を立てながら右往左往しているきり

外国から帰ってきた人はみんなどこか張り詰めていて、いい匂いがするような気がする。その人自体が生まれ変わったような、新鮮な感じがする。

道路の流れはまだ滞っていた。苛立ったのか、前方の車からクラクションが鳴った。遠吠えに反応する犬のように、別の車からもクラクションが発せられる。

静岡県警本部の記者会見場に、熱気とざわめきが籠もっていた。 　所狭しと並べられたパイプ椅子に、五十人以上の記者たちがすし詰めに腰掛けており、カメラやフラッシュをチェックしたり、会場のあちらこちらへ 忙しなく視線を走らせたりしている。隣同士で 囁きを交わしたりしている者も少なくない。 　記者席の背後には、地元局ばかりか、全国ネット局のテレビカメラまでが三台もスタンバイしており、スタジオ並みの照明も並んでいた。上座の会見席には何本ものマイクが並べられ、傍らに司会進行用のマイクスタンドも用意されているものの、まだ人の姿はなかった。

影のようにひっそりとした参列者

首都高速にびっしりと渋滞した車やトラックの群れを見てそれが毛虫とか芋虫とかいろいろ気持ちの悪いものに見えた。