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あれは昭和二十六年やったと言いながら、武内は 朦朧 とした頭の中のそこだけいやに 冴えわたった一隅で、阪神間を一望する芦屋の高台から 眺めた夜の海を思った。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 ページ位置:26% 作品を確認(amazon)
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思い起こす・記憶をたどる
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前後の文章を含んだ引用
......か友人になれなかったりさせるのだった。そうした人間同士が、好むと好まざるとに関わらず結びついて流れ落ちていくさまを、武内はもういやというほど見てきたのである。 あれは昭和二十六年やったと言いながら、武内は朦朧とした頭の中のそこだけいやに冴えわたった一隅で、阪神間を一望する芦屋の高台から眺めた夜の海を思った。「大きな金の賭かった勝負を、芦屋の大金持ちの邸宅でやったことがある。空襲で、あのあたりも火の海になったけど、その邸だけぽこんと一軒残ったんや。大きなシャンデリア......
単語の意味
朦朧(もうろう)
冴える・冱える(さえる)
朦朧・・・意識や視界、意味などがハッキリしないさま。ボーっとしていて、クリアでないさま。おぼろげなさま。ぼんやり。
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虹色の光の糸を集め、記憶の薄絹を織る
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
その時々のありさまが、写真にとって残しておいたようにこまごまと思い出されてくる
森田 たま / もめん随筆 amazon
わすれていた女のすがたが風のようにうかんできた
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
記憶が眠る山を鶴嘴(つるはし)で必死に削り、中から重要な情報を掘り出そうと試みる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
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身体の内側が外側にめくれ返っていくような特異な感覚に襲われる。するとあの路地のにおいがする。埃っぽいアスファルトのにおい、下水のにおい、ひねこびた植物と土のにおい、猫の尿のにおい。ピアスを最後につけたあの最後の夜のにおいが、部屋にこびりついた煙草のにおいと陣治の体臭をつきぬけて十和子の鼻孔に届く。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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