正体不明の、それでいて身の置きどころがないような深い哀しみが、信雄の中を走り抜けていった
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:60% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
悲しい・悲しみ
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......った。だから信雄は自分がなぜ泣いているのかわからなかった。喜一がいじめられ馬鹿にされたことが哀しいのでもなく、また、喜一が雛を殺したことが哀しいのでもなかった。正体不明の、それでいて身の置きどころがないような深い哀しみが、信雄の中を走り抜けていったのである。 信雄は雛の死骸をポケットにしまうと、喜一の刺すような視線を背に感じながら、ひとり家に帰っていった。 夜、信雄が寝巻に着替えて窓辺に凭れ、漫画の本を読......
ここに意味を表示
悲しい・悲しみの表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
胸には、底のほうに暗い悲哀がこちんとよどんでいる
有島武郎 / 或る女
こもった哀愁が、発しない酒のように、葉子のこめかみをちかちかと痛めた。
有島武郎 / 或る女
このカテゴリを全部見る
「悲しみ」カテゴリからランダム5
同じカテゴリの表現一覧
悲しみ の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ