こもった哀愁が、発しない酒のように、葉子のこめかみをちかちかと痛めた。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:25% 作品を確認(青空文庫)
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悲しい・悲しみ
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前後の文章を含んだ引用
......ときょとと見やりながら空俥 を引いて立ち去った。大八車 が続けさまに田舎 に向いて帰って行く小石川の夕暮れの中を、葉子は傘 を杖 にしながら思いにふけって歩いて行った。 こもった哀愁が、発しない酒のように、葉子のこめかみをちかちかと痛めた。葉子は人力車の行くえを見失っていた。そして自分ではまっすぐに釘店 のほうに急ぐつもりでいた。ところが実際は目に見えぬ力で人力車に結び付けられでもしたように、知らず......
単語の意味
哀愁(あいしゅう)
顳顬・蟀谷(こめかみ)
哀愁・・・なんとなく悲しい思い。寂しそうで悲しそうな感じ。ペーソス。
顳顬・蟀谷・・・頭蓋の側頭部のあたり。耳の上で、目のわき、髪の生え際のところ。この部分には下顎骨につく側頭筋があって、歯をかみしめると動く。米を噛むと動くところ(米噛)だからいう。顳顬(しょうじゅ)。
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底の見えない無闇な悲しみに身を委ねる
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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満喜江と寝ている事に何の感動もなかった。《…略…》汽車の時間を待ち合わせているような空虚な時間が過ぎて行くだけだ。
林 芙美子 / 牛肉「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
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