(海に浮く)世界が空と太陽と海と僕だけになったところで行き倒れたみたいに寝転ぶと身体は少しだけ浮き、耳は海にある洞窟みたいに波のリズムに合わせて穴の水位が上がったり下がったりした。力を完全に抜くと踵だけが海底につく。浜近くの底と土の質が違って砂ではなく、やわらかくあたたかい泥だ。波に圧されるたびに踵が泥の海底を掘り、碇を下ろしたみたいに僕は同じ場所に停まり続ける。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 ページ位置:48% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......たさで、透けるような黄緑色をした海草が揺らめいていた。ときどき足のそばを、灰色の斑点をもつ透明の小魚が群れで通り過ぎていった。 海の野原をどこまでも歩いていき、世界が空と太陽と海と僕だけになったところで行き倒れたみたいに寝転ぶと身体は少しだけ浮き、耳は海にある洞窟みたいに波のリズムに合わせて穴の水位が上がったり下がったりした。力を完全に抜くと踵だけが海底につく。浜近くの底と土の質が違って砂ではなく、やわらかくあたたかい泥だ。波に圧されるたびに踵が泥の海底を掘り、碇を下ろしたみたいに僕は同じ場所に停まり続ける。 太陽の照りがまぶしすぎる正午になると浜まで戻り、ゆるやかな坂になっている浜を横切って、着いたとき放り出した荷物を拾って浜と木立の狭間にある二本の木まで歩いてい......
単語の意味
身体(しんたい)
土(つち)
砂(すな)
身体・・・人のからだ。肉体。
土・・・岩石と有機物が混じって細かい粉末状になったもの。有機物は、生物の死骸およびその腐敗物、微生物などから構成されている。砂(有機物が含まれない)とは違い、植物が育ちやすい。
砂・・・岩石が細かくなったもの。岩が徹底的に砕かれたもので有機物が含まれていない。そのため、土(有機物が含まれる)と違って、植物は育ちにくい。砂場や砂漠に雑草が生えにくいのもこのため。
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泳ぐの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(水中を人が泳ぐ)水中カメラの前をきれいな流線型で通りすぎてゆく。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
(水中を泳ぐ人の姿が美しい)その姿はわたしに、人間は誰でも羊水の中で生まれたんだということを思い出させる。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
もし水泳競技にターンがなく、距離表示もなかったとしたら、400メートルを全力で泳ぎきるという作業は救いのない暗黒の地獄であるに違いない
村上春樹 / 回転木馬のデッド・ヒート(プールサイド) amazon
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「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
水筒から水を飲む。生温かい。喉に滑り落ちてゆく。
拓殖久慶 / ラオス内戦 amazon
ふ、ふと湯玉が上ってくるように笑いの玉がこみ上げて来て、大きな声で笑っていた。
向田 邦子 / はめ殺し窓「思い出トランプ (新潮文庫)」に収録 amazon
漁夫たちは力強い鈍さをもって、互いに今まで立ち尽くしていた所を歩み離れて
有島武郎 / 生まれいずる悩み
噴飯するように笑った
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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