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列車が揺れるたびに、女のゴム長についた鱗は鋭く光った。何の脈絡もなく、千代はその無数の光から、何年か前に別れた我が子の 項 の細さを思い出し、はっとして坐り直した。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:43% 作品を確認(amazon)
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(何かをきっかけに)過去の記憶が蘇る
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前後の文章を含んだ引用
......ったあの夜汽車の中でも、赤ん坊が泣いていた。 四十分近く停まっていた汽車が再び雪の原野を走り始めると、こんどは突然車輛のうしろで、赤子が泣きだしたのであった。 列車が揺れるたびに、女のゴム長についた鱗は鋭く光った。何の脈絡もなく、千代はその無数の光から、何年か前に別れた我が子の項の細さを思い出し、はっとして坐り直した。その拍子に膝に掛けてあった重竜の外套がずり落ちた。「きょうは福井泊まりよ。越前岬にはあした足を伸ばすちゃ。それでええがか?」 越前に行きたいとは言ったが、千代は......
単語の意味
項・脰(うなじ)
千代・千世(ちよ)
項・脰・・・首のうしろ部分。首筋。襟首(えりくび)。襟(えり)。
千代・千世・・・千年。非常に長い年月のたとえ。千歳(ちとせ・せんざい)。「代」も「世」も「ある期間」を意味する字。
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(何かをきっかけに)過去の記憶が蘇るの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
こうして同じように道頓堀橋に 佇んでいた。そのとき、遠い昔に、両親に手を引かれて宗右衛門町筋を歩いたことを思い出した。 師走 のジングルベルが鳴り響く心斎橋筋で買物をして、それから橋を渡って 寄席 に行ったという記憶があった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
「きィよォしー、こォのよォるゥ……」 鼻唄が尻すぼみになった。何であんなやつのことを思い出すのだろう。
浅田次郎 / ろくでなしのサンタ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
列車が揺れるたびに、女のゴム長についた鱗は鋭く光った。何の脈絡もなく、千代はその無数の光から、何年か前に別れた我が子の 項 の細さを思い出し、はっとして坐り直した。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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映画のハッピーエンドのように、その光景は静かにフェイドアウトしていく。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
水島の電話のソフトな口調と、なんとしてでも押し入ろうとする昨夜の男の強引さとが、同じもののネガとポジのように十和子のなかで結びついてしまう。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(脳が記憶に)すっぽりと黒い布をかけ、私の目に触れないように、記憶に残らないようにしてしまっているのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
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