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唇に、あの頃よく飲んだカクテルの酸味がつんと甦ってくる。《…略…》いつもチャイナ・ブルー。はじめてバーに連れて行かれた夜に、カクテルの名前さえろくに知らない十和子のために黒崎がオーダーしてくれた。それは神戸の彼のマンションではじめて抱かれた夜でもあった。以来、グレープフルーツの酸味は、運命の夜の神聖さと強く結びついてしまっていた。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:50% 作品を確認(amazon)
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フラッシュバック・走馬灯のように蘇る記憶
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前後の文章を含んだ引用
......ないみたいだけどね〉 元町かどこかのバーで、飲んでも飲んでも崩れない横顔を見せてそう言った黒崎、消えた男、壊れてしまった十和子の腕時計――。水島の肩に触れている唇に、あの頃よく飲んだカクテルの酸味がつんと甦ってくる。「デパートの未来なんて暗澹としたものだよ。景気が回復したところで、飢えたように物を買い漁るなんていう時代はもう終わったからね。そのうちネット・ショッピングが主流......<中略>......。 何度か来たことのあるホテルのバーで、カウンターの隅に並んですわり、十和子はグラスのなかの青い液体を眺めている。バランタインのロックを好む黒崎の隣で飲むのは、いつもチャイナ・ブルー。はじめてバーに連れて行かれた夜に、カクテルの名前さえろくに知らない十和子のために黒崎がオーダーしてくれた。それは神戸の彼のマンションではじめて抱かれた夜でもあった。以来、グレープフルーツの酸味は、運命の夜の神聖さと強く結びついてしまっていた。〈ほんとに、君には一生頭があがらないよ。一緒になってもきっと尻にしかれっぱなしだな〉腕のロレックスをちらっと見て〈さあ、あまり向こうを待たすわけにもいかないから......
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関係が純然たる過去になって詩のように心に残る
志賀直哉 / 濁った頭「志賀直哉小説選〈1〉」に収録 amazon
真珠のように小さな記憶の粒
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
胸の中の小さな砂粒が真珠の粒になるように、年月は古い思い出を似ても似つかない美しいものに変えてしまう
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
スタンの思い出を暖かい墓場の中で、おれは培養したくない
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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暗い裏道に入る。 「少し歩こう」 両側に寄り集まった軒の薄暗さに気持が怯む。黒崎の車から蹴り落とされたときのことがフラッシュのように閃いて消える。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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