TOP > 暮らしの表現 > 生と死 > 子供が生まれる・産声
へその緒が断ち切られる。 最初は二人で一つだったのに、つながっていたのに、人はこうやって、糸から切り離されて現世に落ちる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 ページ位置:56% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
子供が生まれる・産声
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......て。割れる彗星を、舞いのしぐさに。 また、永い時が経つ。 赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。「あなたの名前は、三葉」 優しげな母の声。 そして残酷な手応えとともに、へその緒が断ち切られる。 最初は二人で一つだったのに、つながっていたのに、人はこうやって、糸から切り離されて現世に落ちる。「二人は、父さんの宝物だ」「あなた、お姉ちゃんになったんやよ」 若かった夫婦の会話。やがて三葉には妹が生まれる。しあわせと引き換えのように、母が病に倒れる。「お......
ここに意味を表示
子供が生まれる・出産・産声の表現・描写・類語(生と死のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(新生児)産院の、小舟のような形の透明なベッドに収まった赤ん坊を見た時、自分の中にわいたのは、喜びよりも怖れに近いものだった。生まれてからまだ数時間しか経っておらず、まぶたにも、耳たぶにも、踵にも、さっきまで羊水に浸かっていたふやけた感じが残っていた。目は半ば閉じられていたが、眠ってはいないらしく、大きすぎて身体に馴染まない産着からはみ出た手足を、小刻みに動かしていた。まるで、間違った場所に置き去りにされた不満を、誰かに訴えているかのようだった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
かすかな産声が、息もつけない緊張の沈黙を破って細く響く
有島 武郎 / 小さき者へ amazon
敬慕している人とそのおくさまとの間に生まれる新しい生命、それはわたくしのような運命の女、生胚子を産むことを禁じられた女にとっては、天雷のように抗いようのない神秘な暴力として落ちかかってくるものであった。
大原 富枝 / 婉という女 (1961年) amazon
壁を突き破るような産声が湧き起こる
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
このカテゴリを全部見る
「生と死」カテゴリからランダム5
沸々とたぎるような、黒い炎をあげてつっ走っていくような、思惟と形象と生命の激しい流れ
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
(死体の)はや乾いた眼の玉の池の中には蛆(うじ)大将が勢揃え。
山田 美妙 / 武蔵野 amazon
(娘の死体を見る)母親は自身とは急に遠くなった物でも見るような一種 悽惨 な 冷淡 さを顔に表わして見ていた。
志賀 直哉 / 正義派「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
生と死 の表現の一覧
暮らしの表現 大カテゴリ