その報われなさに、何とも言えない嫌な感じがした。自分たちの生きているこの世界は、そういう場所だったのだろうかと、不安になったのだった。
平野啓一郎「ある男」に収録 ページ位置:4% 作品を確認(amazon)
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憐れ・同情・かわいそう
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......になるはずだった。同級生から大人たちまで、誰一人としてその幸福を疑った者はなかったので、彼女が幼子を亡くし、離婚して帰郷したと知った時には、気の毒なのは固より、その報われなさに、何とも言えない嫌な感じがした。自分たちの生きているこの世界は、そういう場所だったのだろうかと、不安になったのだった。その上更に、たった三年九ヶ月で再婚相手に先立たれてしまったのだから、里枝の夫という意味でも、谷口大祐を死後悪く言う者がなかったのは自然なことだった。 大祐と出会......
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「憐れ・同情・かわいそう」の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
憐憫は 情慾 と同じように一種の本能にすぎなかった。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
泣いても泣いても泣き足りないようにかわいそう
有島武郎 / 或る女
高齢者が、長い人生経験に照らしながら、(同情する)
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
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「悲しみ」カテゴリからランダム5
恋人に逃げられてばかりいるアルトゥール青年を、悲喜劇染みた気持で見返した。
岡本かの子 / 母子叙情
ときどき眼を瞑 って頭を軽く振っているのは、出そうになる涙を強情に振り戻しているのではあるまいか
岡本かの子 / 母子叙情
(死にたいと思いながら生きる)巨大な鯨に吞まれ、その腹の中で生き延びた聖書中の人物のように、つくるは死の胃袋に落ち、暗く淀んだ空洞の中で日付を持たぬ日々を送ったのだ
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
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