白い軌跡を描き、オレンジ色の炎の固まりとなったロケットは、あっという間に低く垂れ込めた雲を突き破り、視界から消え去っていった。 そしていま──。 遥かに、エンジンの轟音だけが、かすかにきこえる。 それはまるで、モノトーンが佃たちに残した別れの言葉のようだった。 一陣の強風がロケットの軌跡を 薙ぎ、かき消した。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 ページ位置:99% 作品を確認(amazon)
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ロケット・宇宙船
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前後の文章を含んだ引用
......山崎が祈るようにつぶやいたとき、ロケットはみるみるスピードを上げ、分厚い雲に向かって射られた巨大な矢のようになった。 江原が魅入られたように、その軌跡を追う。 白い軌跡を描き、オレンジ色の炎の固まりとなったロケットは、あっという間に低く垂れ込めた雲を突き破り、視界から消え去っていった。 そしていま──。 遥かに、エンジンの轟音だけが、かすかにきこえる。 それはまるで、モノトーンが佃たちに残した別れの言葉のようだった。 一陣の強風がロケットの軌跡を薙ぎ、かき消した。風の舞う宇宙センターから、打ち上げ後のカウントが聞こえてきた。「固体補助ロケット第一ペア点火」 冷静な財前の声だ。「よしっ! 順調だぞ」 山崎が拳を握りしめた。......
単語の意味
モノトーン
垂れ込める・垂れ籠める(たれこめる)
モノトーン・・・1.音や表現に変化が乏しいこと。単調なこと。また、そのさま。
2.色の構成が、白と黒とグレーといった、色みのない色だけであること。赤や青などでも、その一色の明暗だけの構成であれば、モノトーンという場合もある。
2.色の構成が、白と黒とグレーといった、色みのない色だけであること。赤や青などでも、その一色の明暗だけの構成であれば、モノトーンという場合もある。
垂れ込める・垂れ籠める・・・1.雲などが低く一面に広がる。
2.すだれやとばりを下ろして閉じこもる。家の中に入ったきり外に出ない。
2.すだれやとばりを下ろして閉じこもる。家の中に入ったきり外に出ない。
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ロケット・宇宙船の表現・描写・類語(乗り物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(発射一分前のロケット)ロケット基底部 辺りから、揮発する液体水素が、白い布のようにたなびいていた。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
ロケットはみるみるスピードを上げ、分厚い雲に向かって射られた巨大な矢のようになった。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
白い軌跡を描き、オレンジ色の炎の固まりとなったロケットは、あっという間に低く垂れ込めた雲を突き破り、視界から消え去っていった。 そしていま──。 遥かに、エンジンの轟音だけが、かすかにきこえる。 それはまるで、モノトーンが佃たちに残した別れの言葉のようだった。 一陣の強風がロケットの軌跡を 薙ぎ、かき消した。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
(ロケットエンジンの燃焼テスト。ロケットエンジンの)銀色のスカートが、轟然と噴き出した白煙と炎にまみれたのはそのときだ。 モニタが映し出しているその光景は、無音だ。その中でエンジンだけが生命を吹き込まれ、猛然と炎を噴出し、巨大なエネルギーを消費している。無声映画を観ているような不思議な光景の中で、燃焼時間の自動カウントだけが続いていた。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
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「乗り物」カテゴリからランダム5
夏休みのせいか、道がひどく混んでおり、ノロノロ運転が続いていた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
崖 が次第に近づいてきました。浜から腐った海草の臭いが漂い、舟底を砂がひっかきはじめると、若者は、舟から飛びおり、海に足をつけて両手で 舳 を押しはじめました。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
大河の心臓の音のように、川蒸気の音が聞えて来る。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
巨大な斧の断面のような船腹
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
普通車三台分のスペースをぶち抜く恰好で、巨大なリムジンカーが停車中
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで 2 amazon
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