TOP > 暮らしの表現 > 人間関係・地位 > 再会・再び出会う
TOP > 人物表現 > 記憶 > 失われた記憶がよみがえる
はじめまして。僕は野呂、といいます」 ふいに既視感のようなものがわたしを捉えた。野呂、という名を聞いたからではない。耳にしたその声、漂わせるその雰囲気、相手の顔を見もしないで話を進めようとする、或る種の事務的な冷淡さ……そうしたものが、わたしの中の遠い記憶を刺激し、何かを呼び覚ましたのだった。 この人、知っている、とわたしは思った。知っている、確かに知っている、どこかで会った……と。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:9% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
再会・再び出会う
失われた記憶がよみがえる
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......ように、電話であらかじめ仕事内容の質問をした人間が他にもいたと思われる。男は無反応のままうなずき、自分の正面の空いている席を指さした。「どうぞ、坐ってください。はじめまして。僕は野呂、といいます」 ふいに既視感のようなものがわたしを捉えた。野呂、という名を聞いたからではない。耳にしたその声、漂わせるその雰囲気、相手の顔を見もしないで話を進めようとする、或る種の事務的な冷淡さ……そうしたものが、わたしの中の遠い記憶を刺激し、何かを呼び覚ましたのだった。 この人、知っている、とわたしは思った。知っている、確かに知っている、どこかで会った……と。 そしてその感覚は、暗がりに目が慣れて、光と影との均衡がとれた時、さらに明らかなものになった。 あの時の医師だ、とわたしがはっきり思い出したのと、彼が怪訝な顔を......
単語の意味
冷淡(れいたん)
冷淡・・・1.ものごとに興味や関心を示さないこと。気持ちが冷めていること。淡白。
2.思いやりがないこと。苦しんだり悩んだりしている相手の心を理解する気持ちを示さず、態度が冷たいこと。
2.思いやりがないこと。苦しんだり悩んだりしている相手の心を理解する気持ちを示さず、態度が冷たいこと。
ここに意味を表示
再会・再び出会うの表現・描写・類語(人間関係・地位のカテゴリ)の一覧 ランダム5
夜中の部屋で、久しぶりの人と会うのは気分が良かった。 まるで新年を迎えたみたいだった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
失われた記憶がよみがえるの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(久しぶりに聞く幼なじみの)その声はしんとした夜更けによく響く鐘をうち鳴らしたみたいに僕の頭の片隅にこびりついていた潜在的記憶を一瞬にしてありありと蘇らせた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
まっ黒な過去のドアがかすかにきしんで、最初の曙光が射しこんでくる
ウィリアム・アイリッシュ / 黒いカーテン amazon
「些細な」思い出が、まるで成長してあらわれた隠し児のように、私の眼前に異常に大きなものに育ってよみがえった。
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
記憶していたことさえ知らずにいたある記憶が、意識の底の暗闇から遊離してゆっくりと浮かび上がってくる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「記憶」カテゴリからランダム5
今は亡き人であるだけに彼には益〻偶像化されて行く
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
記憶はエネルギーだから、発散されなければ世にもさみしいかたちで体内に残留する。
吉本 ばなな / キムチの夢「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
「人間関係・地位」カテゴリからランダム5
監督が甲板を棍棒 で叩いた。
小林多喜二 / 蟹工船
下手糞を相手にしながら、勘のいい馬のようにピタリと息を合わせる
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
同じカテゴリの表現一覧
記憶 の表現の一覧
人間関係・地位 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ