赤児は 殆どひっきりなしに泣き続けた。 眉間 に太い 皺 を作って、小さい唇を震わしながら「ふぎゃあふぎゃあ」と云うように泣く。その声が謙作や直子の胸を刺した。そうして断えず聴いていると、 偶 〻 泣き止んだ時でも、耳の底からその声が 湧いて来た。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:67% 作品を確認(amazon)
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赤ん坊・幼児が泣く
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前後の文章を含んだ引用
......ましょうか」と云った。「いや。K先生のお診断でしたら、決して間違いは厶いません。では、まあお大事に……」 こう云うと小さい医者は逃げるように帰って行った。十九 赤児は殆どひっきりなしに泣き続けた。眉間に太い皺を作って、小さい唇を震わしながら「ふぎゃあふぎゃあ」と云うように泣く。その声が謙作や直子の胸を刺した。そうして断えず聴いていると、偶〻泣き止んだ時でも、耳の底からその声が湧いて来た。往来へ出る。そこはもう自家から泣声の聴えぬ遠さなのに、不意にそれが聴えて来たりした。「オイ、どうしたらいいか──どうすればいいのか」余り烈しく泣かれる時に謙作は......
単語の意味
眉間(みけん・びかん・まゆあい)
胸(むね)
眉間・・・眉(まゆ)と眉の間。額の真ん中。
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赤ん坊・幼児が泣くの表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
赤児は火のつくように泣いた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
「赤ん坊の泣き方ってすごいね」成瀬の顔を見た。「あの泣き声で、車内吊り広告が剥がれそうだ」
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
呼応するようにまどかの泣き声もトーンを上げた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
リエは息を継ぐ暇も惜しんで泣いていた。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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「声・口調」カテゴリからランダム5
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肩をふるわせて泣きじゃくり
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
干した貝が水にほとびるように両方の目に潤いが出る
森 鴎外 / 山椒大夫 amazon
涙と一緒に突き上げてくる呼吸を唇を堅く結んで押さえている様な表情
田村俊子 / 木乃伊の口紅 amazon
霞ませた瞼の下で白川の瞳が暗い水のゆれるような光を湛えている。
円地 文子 / 女坂 amazon
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