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二階がやわなので、地震のように、家がうごく。
吉川英治 / 治郎吉格子 ページ位置:9% 作品を確認(青空文庫)
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粗末な建物
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......おひとり様だけ、お待ちねがいます。ま、いっぷく、おけなすって」  煙草盆を、そこへ出しておいて、下剃は、流し元で、青砥あおとをすえて、ごしごしと、剃刀かみそりぎはじめた。二階がやわなので、地震のように、家がうごく。  治郎吉は、真鍮しんちゅうのべで、すぱりと、一服くゆらしながら、家のなかを見まわした。床屋といえば、江戸も上方かみがたも、似たりよったりなものだった。隅では、一組、将棋盤をかこん......
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