家中が幽霊屋敷のようにくらい

明るい筈の家庭内が陰気にしめりかえり、ぬるぬるとした蛇穴のようなむれ気が家内の隅々にたちこもっていて、すがすがした爽やかさはみじんも感じられない。

氷室のように湿っぽく暗く冷たい家

雪の真ん中に亡霊のように立つ屋敷

牛丼屋のほうは、雰囲気が暗い。空気も重くよどんでいる。気楽に出入りできない雰囲気がある。 　学生やサラリーマンは来るが、ＯＬやおばさんはまず来ない。 　学生やサラリーマンも、どういうわけかはよくわからないが、いかにもモテないタイプが出入りしている。

土壁のないバラックで、昔は物置であったのかもしれない。

この小さい、蝦蟇（がま）がつくばったような平家（ひらや）

象のいない象舎はどことなく不自然だった。必要以上にがらんとして無表情で、それは臓物を抜かれて乾燥された巨大生物のように見えた。

時の止まった遊園地。シンボルであったはずの観覧車のゴンドラは今にも落ちそうだ。

千代紙細工のような、不思議な書院造りだった。