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黒板から降る白墨の粉のような、暗い冷たい霧の粒が、そこら一面踊りまわり、あたりがにわかにシインとして、陰気に陰気になりました。
宮沢賢治 / 風の又三郎 ページ位置:48% 作品を確認(青空文庫)
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霧・かすみ・もや
雨模様・今にも降りそう
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前後の文章を含んだ引用
......た。霧がことに滋 くなって、着物はすっかりしめってしまいました。 嘉助は咽喉 いっぱい叫びました。 「一郎、一郎、こっちさ来う。」ところがなんの返事も聞こえません。黒板から降る白墨の粉のような、暗い冷たい霧の粒が、そこら一面踊りまわり、あたりがにわかにシインとして、陰気に陰気になりました。草からは、もうしずくの音がポタリポタリと聞こえて来ます。 嘉助は、もう早く一郎たちの所へ戻ろうとして急いで引っ返しました。けれどもどうも、それは前に来た所とは......
単語の意味
陰気(いんき)
白墨(はくぼく)
陰気・・・気分や天気などが、スッキリしない。明るくなく、ドンヨリしている。⇔陽気。
白墨・・・黒板に使うチョーク。
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霧・かすみ・もやの表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
濃い乳白色の霧の厚い層の向こうに、ひそかなバラ色の明るみがある
大江健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
(ひどい霧で人々が、光の)輪の中にうようよと音もなく蠢く、ちょうど海の底の魚群のよう
池谷 信三郎 / 橋 amazon
寺がある。朝からの霧が未だ晴れず、その大きな萱屋根が坐っている彼の眼の高さに鼠色に見えている。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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雨模様・今にも降りそうの表現・描写・類語(晴れ・曇りのカテゴリ)の一覧 ランダム5
人と別れた瞳のように、水を含んだ灰色の空
池谷 信三郎 / 橋 amazon
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「雨・霧」カテゴリからランダム5
霧が谷に満ち、大きく渦を巻くようにして動く
高井 有一 / 北の河 amazon
罪人を打ちすえるごとく体の芯まで冷やす雨
大原 まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
梳(くしけず)ったような細い雨の足が土堤から川水の上を平面にさっと掠っていた
田村 俊子 / 木乃伊の口紅 amazon
濡れて光る小路が虹色に映る
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
どしゃ降りの雨が、土を削り取るような勢いで降り続いている。 気温が、雨に吸い取られてみるみる下がっていくのが、肌で分かる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
「晴れ・曇り」カテゴリからランダム5
急に青葉をくぐって、強い日の光が庭の一部に降りそそいで来た。明るいところと暗いところが、くっきりと分かたれて、青い焔を燃え立たせたように光の斑が散らばった。
大仏 次郎 / 宗方姉妹 (1954年) amazon
山にせき止められていた日光が徐々に閃々と部屋の窓を射はじめる
梶井基次郎 / 冬の蠅 amazon
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