規則正しい健康な寝息

夢のなかにいるひとの息づかい。

笛のような寝息

すてきに偉大な鼻は約五秒置きぐらいに自動車の警笛に似た発声とともに異様な震動を起すのであった

美代子は眠るときに小さないびきをかく。ゆっくりとしたテンポの、メロディーのない弦楽のような、決して耳障りにはならない音だ。

どうしても眠れないの。どうにも腹が立って、やり切れなくて眠れないのよ。

欠伸をかみ殺す

熱い紅茶をいれる頃、彼女は匂いにつられて起き出して来る。

夜中、私がベッドに入ったあとも、弟は泣きやまなかった。そして何をいってるかはわからなかったが母の低い語りかけと、弟の大泣きは壁を通してもう暗い私の部屋に聞こえていた。 　永遠に続くお経みたいだった。

突然眠りがやってきた。舞台の暗転みたいな一瞬の急激な眠りだった。眠りに落ちた瞬間のことを僕はちゃんと覚えている。巨大な灰色猿がハンマーを持ってどこからともなく部屋に入ってきて、僕の頭の後ろを思いきり叩いたのだ。そして僕は気絶するみたいに深い眠りに落ちた。