山全体が夢見るような多彩な美しさでした。

陽を受けた山の際が白っぽく粉を撒いたように見える

美しい山はだは、ひきむかれたようにいたいたしく、赤土がむきだされていました。

全山雲にかかった山の景観

霧が山をしずしずと降りてくる

爪先立ちになって、急な坂を押し合うように下りてゆく

（渋谷）駅前の交差点では大勢の人が行き交っていて、一秒たりとも風景がじっとしていることがない。まるで街が生きているように見える。人間の身体で例えれば、渋谷駅は心臓だ。文化村通りやセンター街など、あちこちに延びた道路は血管で、道行く人たちは血液にあたる。心臓は今日も大量の血液を街の隅々にまで送り出す。

（サイパンの街並み）週刊誌で見る「昭和初期の銀座」みたいな、人間に対しておおらかな風景だった。《…略…》空が広くて、人々の顔も晴れやかで、まるでパノラマのようだ。

駅前を行き交う人々は、いずれも額に汗を浮かべている。目の前には、客待ちのタクシーの並ぶロータリーがあり、斜め左側にビジネスホテルが見えていた。

窓の外を過ぎ去っていく臨海工業地帯の味気ない風景をあてもなく眺めた。