なだらかに裾の広がっている山

美しい斜線が遠い裾まで伸びている山の端

こめかみを押しつけるような冬山の森厳な沈黙

黒ぐろとした山が空の正面に立ち塞（ふさ）がっていた。

（山の木々が）あらゆる色彩の《…略…》日傘になる

豆腐屋のプー・・・アー・・・というやるせない笛の音色

（崖下の家）湾曲した崖の下にあって今にも小高い丘に吞まれそうな恰好をしている。

勾配のついた路

（ハワイにつく）ホノルルの空港に降り立つと、とたんに違う種類の光が降ってきて、はっとして目が覚める。《…略…》急に植物の命がばりばりと光を食べている中に放り出される。体中の細胞が甘く官能的に動き始める。ざわざわした動きが体の中で行き場を求めて流れ始める。

（バラ園）薔薇以外の植物を探すのが困難なほど、いっさいが薔薇で埋め尽くされている。「カクテル」「パレード」「マリア・カラス」など品種は様々。鉢植えのものもあれば花壇に茂るもの、壁や支柱に絡みながら伸びるものなど、形もいろいろだ。しかも五月下旬のこの季節は薔薇の開花の時季。いままさに咲き誇らんとする色とりどりの薔薇がそこら中に溢れて、あたりは濃厚な香りと色彩に満たされている。それは息苦しささえ感じるほどの光景である。