夢のもどかしさが、奇妙な襟巻のように喉に絡み付く

夢というものは、人間の全身が眠っている間に、その体内の或る一部分の細胞の霊能が、何かの刺戟で眼を覚まして活躍している。その眼覚めている細胞自身の意識状態が、脳髄に反映して、記憶に残っているものを吾々は「夢」と名付けているのである。

はとのくちばしはとがっていて　いたくはないけれど　すばやくつっつく（ここまで夢の描写）　手でかばっても指のすきまから　首とかほっぺた　セーターのあみめの間からも　母さんも止めようとしてくれるが、つっつきはいつまでたっても 　びくりとして起き、眠りのために上がっていた体温が急に冷える。布団の感触や外気の匂いが五感に、さっきまでのは噓だ、これがリアルだと教えてくれる。薄く目を開くと世界は元通りで布団のなかで寝返りをして安心した。どんな夢を見ていたんだっけ。完全に現実だと思っていた夢の世界が急速に遠のいていき、ついさっきまでそのなかにいたのに、どんなだったかもうよく思い出せない。

夢とわからないほど生々しい夢

夢の中というのは感情の起伏が激しいものでしょう？　些細なことがやけに悲しかったり嬉しかったり。

私は他人のように抱きしめてみた

釘抜きで挟まれたように眠くなった。

ごろりと横になり、古畳の上で腐ったようにうとうと

横になるまでは、眠くって眠くって堪らなかったが、木枕を、首にあてると、ぴーんと妙に、神経は冴え返って、 「ええ、また今夜も」 　と、寝返りを打った。

粘液の中に軀（からだ）を浸しているような眠り