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サユリは彼の顔の前で足を開いた。彼は、そこに顔を埋め、そのものわかりのよい生き物に、何度も何度も口づけた。たくさんのキスが隙間なく重なり合い、サユリは満足そうに溜息をついた。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 ページ位置:22% 作品を確認(amazon)
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愛撫(前戯)
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......を踏まないように注意深く跪いた。「君とこんな関係になれるなんて。神にいくら感謝しても足りないくらいだ」「感謝するなら、このものわかりのいいプッシィに感謝して」 サユリは彼の顔の前で足を開いた。彼は、そこに顔を埋め、そのものわかりのよい生き物に、何度も何度も口づけた。たくさんのキスが隙間なく重なり合い、サユリは満足そうに溜息をついた。 人生は、時々、素敵だ、とクラウスは思った。国に残して来た妻や息子も彼を素敵な気持にすることはあったが、もはや、サユリのように強烈な印象を彼に与えはしなかった。......
単語の意味
溜め息・溜息・ため息(ためいき)
満足(まんぞく)
溜め息・溜息・ため息・・・気苦労や失望、また、感動したときや緊張がとけたときに、思わず出る大きな息。大息(おおいき・たいそく)。長息(ちょうそく)。
満足・・・1.自分の思い通りになって、不満がないこと。これ以上注文のつけようがないこと。申し分がないこと。
2.十分なこと。完全なこと。
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愛撫(前戯)の表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
愛を物語る指の動きや、情感を肌の上に 均す舌の滑り具合
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
背面のすみずみまで揉みほぐしていく指が、ひとつの部分にだけは触れようともしない。その窪みのすぐそばを指が 掠めていくたびに十和子の息が止まる。何かのはずみにふと開かれて空気と視線にさらされるのを感じると、不随意な 収斂 が身体を駆け抜ける。陣治の視線になぜか欲望は含まれていなくて、十和子はもう何も考えず、どこまでも退行して小さな赤ん坊になっていくような気がする。   仰臥 の姿勢をとらされて、またいつ果てるとも知れないマッサージがはじまる。触れられない部分が触れられないために何倍にも肥厚し、肥大し、発熱し、発赤していく。そのままで目を閉じ、身体をまかせきっている。夢想のなかで、いつものようにいつのまにか、淫らな赤ん坊である十和子は父親に愛撫されている。無造作な、優しい、容赦ない父親の手。快感はまるで拷問のようだ。自分から知らない間に大きく脚を開いている。それでも触れてこようとしない。両脚の間にすわった父親は、下から両手を差し入れて持ち上げるように腰を揉む。十和子は父親の顔を知らない。ようやく腹にたどり着いた指先が、触診するように臓腑のかたちを探った後で、十和子はどこにも触れられず、じろじろと見つめられるだけでしばらく放っておかれる。それからいきなり二つの乳首の先端の何ミリかが摘み上げられる。声をあげる。父親がなぜそんなことをするのかわからない。十和子のほかの部分への興味を失って、見たこともない昆虫を捕らえたとでもいうような無邪気さでそれにかかりきりになる。二つの乳首は研究され分類され標本にされる。その後でようやく父親は、ふと思い出したようにもうひとつのものの研究にとりかかる。考え込みながらしげしげと眺める。すると父親が眺めている傷口から、十和子の身体がゆっくりと赤い内部をさらしながら裏返っていく。ほかのときにはありえない無様で滑らかな 蠕動 が胸、腹、腰を波打たせる。この瞬間のために自分が存在するのだと、この瞬間だけまた芯から思う。それから十和子はもうどこにもいなくなる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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