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前後の文章を含んだ引用

......干して立ち上がった。ケースの中で色鉛筆が、かたかたとつぶやくように鳴った。　よく晴れた日曜日の午後、わたしはＫ君の家へ招待された。　お通夜の晩Ｋ君と別れてから、電話は特別な意味深い動物のようにわたしの前に横たわっていた。受話器の曲線や、プッシュボタンの溝や、しなやかにのびるコードが、エロティックな動物の姿態を連想させた。　サトウのいない夜、わたしは長い時間電話を眺めて過ごした。テーブルの真ん中に電話機を置いて、いろいろな角度からそれを眺めた。不思議と、飽きることがなかった。いくらでもその形を楽しむことができた。　電話は、一晩中ぴくりとも動かずにじっとうずくまっていることもあったし、時々明瞭な声を上げてわたしをびくっとさせることもあった。ベルが鳴って受話器を取る時、見知らぬ動物に触れる時のような小さなためらいがあった。　電話の相手はほとんどサトウだった。「今から帰るよ。夜食の用意、しておいてくれないかな。悪いね。そのかわり、先週公園通りにできたケーキ屋で、パイを買って帰るよ。......

単語の意味

姿態・姿体（したい）

姿態・姿体・・・動きを含め、からだの線が作り出す見た目。体つき。
「態」は訓読みで「すがた、なり」と読める。