電話機の表現・描写・類語(電話のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(電話機が)身を伏せている黒い小さな獣のように、彼の眼に映った。
吉行 淳之介 / 闇のなかの祝祭 amazon
小さな雨除けだけがついた公衆電話
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
電話は特別な意味深い動物のようにわたしの前に横たわっていた。受話器の曲線や、プッシュボタンの溝や、しなやかにのびるコードが、エロティックな動物の姿態を連想させた。《…略…》電話は、一晩中ぴくりとも動かずにじっとうずくまっていることもあったし、時々明瞭な声を上げてわたしをびくっとさせることもあった。ベルが鳴って受話器を取る時、見知らぬ動物に触れる時のような小さなためらいがあった。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
(黒電話)狭くて急な階段の裏にそれは設置された。 形容しがたい丸み、暗号めいたダイヤル、耳にフィットするよう計算された受話器のカーブ、可愛らしげにクルクルとカールするコード。そうした何もかもがどこかしらおもちゃめいていたが、僕は最初からそれが、ただものでないことにちゃんと気づいていた。 とにかくその黒色は特別だった。一点の濁りもなく、濃密で、圧倒的で、気高くさえあった。両手に載るほどの大きさなのに、何を 企んでいるのか分からないふてぶてしさと思慮深さを併せ持っていた。そこに一つ黒い 塊 があるだけで、階段裏の薄暗さが奥行きを増すようだった。
小川 洋子 / 先回りローバ「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
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「電話」カテゴリからランダム5
自分の手のなかに彼の携帯電話がある光景を目にするのは、これが初めてだった。黒く四角いフォルム、使い込まれた雰囲気は、手にはなじまず、私が本物の主人ではないと訴えかけている。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
電話は、唐突に切れた。一方的に切られたあと、耳に残る音が嫌だ。ツーツーと無機質に響く。拒否とか否定とか、あたしの一番苦手なものを連想させる。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
ル、ルン。 その時玄関のほうで電話のベルが鳴った。
阿刀田 高 / 来訪者「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
(黒崎に電話をかける)呼び出し音が鳴っている。一回、二回……。鳴っている、黒崎の身体のすぐそばで。三回……、四回、……五回。胸が締めつけられる。今にも電話をつかもうとする黒崎の手が見える。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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