空も、はかないようなうっすら白い雲がはるかにベールのようにかかった静かな青色をたたえていた。透明な液体がそっとこぼれてしまいそうな不思議な青だった。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 ページ位置:42% 作品を確認(amazon)
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薄く広がった雲
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前後の文章を含んだ引用
......見続けてきたからかもしれない。 こんなこともあった。 その日私は嵐の家に向かって急いで商店街を抜けて行った。午後早くの店々には人もまばらで、妙にしんとしていた。空も、はかないようなうっすら白い雲がはるかにベールのようにかかった静かな青色をたたえていた。透明な液体がそっとこぼれてしまいそうな不思議な青だった。 商店街のはずれの所を通った時、「おい」と呼び止める声がした。見ると、果物屋のレジに嵐がすわっていた。「なにしてるの?」 びっくりして私は言った。「店番頼まれて......
単語の意味
ベール
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墨のような黒雲が一面にあたりをとざす
芥川龍之介 / 杜子春
舞台とは反対の方面で、しきりに花火を揚げる。花火の中から風船が出た。帝国万歳とかいてある。天主の松の上をふわふわ飛んで営所のなかへ落ちた。次にぽんと音がして、黒い団子が、しゅっと秋の空を射抜くように上がると、それがおれの頭の上で、ぽかりと割れて、青い煙が傘の骨のように開いてだらだらと空中に流れ込んだ。風船がまた上がった。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
熟れた杏のような太陽が山の端にかかる
獅子 文六 / てんやわんや amazon
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