その日も私は泳ぎたいという気持ちを抱えて、居間に 坐っていた。 再放送のドラマはすでに頭に入っていなかった。ただ水音が、塩素の 匂いが、ロッカールームからの暗い通路が、懐かしい天国のイメージで夢のように繰り返し頭に浮かんだ。 いらいらして、バイトを休んででも泳がないとすっきりしないような気すらした。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:50% 作品を確認(amazon)
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欲望・本能・欲求
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...... 私はだまされたくなくて、聞いてやらない。我慢する。ずらしているうちに、嵐は去って行く。そう、私はもっと楽しいやり方を知っているんだよ、と自分に言い聞かせる。 その日も私は泳ぎたいという気持ちを抱えて、居間に坐っていた。 再放送のドラマはすでに頭に入っていなかった。ただ水音が、塩素の匂いが、ロッカールームからの暗い通路が、懐かしい天国のイメージで夢のように繰り返し頭に浮かんだ。 いらいらして、バイトを休んででも泳がないとすっきりしないような気すらした。そんなの簡単だし、よくやることなんだけれど、少し違う。楽しさが伴わないこういう欲望は優先したくなかった。真の集中はもっとフレキシブルなものなのだ。 そういうばか......
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