どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、ぼくはそう思った。どうしてそんなに孤独になる必要があるのだ。これだけ多くの人々がこの世界に生きていて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのになぜ我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ。何のために? この惑星は人々の寂寥を滋養として回転をつづけているのか。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:84% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
孤独・一人ぼっち
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......が消される。今日がこのぼくにとっての最後の日なのだ。これが最後の夕暮れなのだ。夜が明けたら、今のぼくはもうここにはいない。この身体にはべつの人間が入っている。 どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、ぼくはそう思った。どうしてそんなに孤独になる必要があるのだ。これだけ多くの人々がこの世界に生きていて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのになぜ我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ。何のために? この惑星は人々の寂寥を滋養として回転をつづけているのか。 ぼくはその平らな岩の上に仰向けになって空を見上げ、今も地球の軌道をまわりつづけているはずの多くの人工衛星のことを考えた。地平線はまだ薄光に縁どられてはいたが、......
単語の意味
寂寥(せきりょう)
滋養(じよう)
寂寥・・・人気がなくて、寂しい感じ。心が満たされず寂しい感じ。寂寞。
滋養・・・栄養。また、栄養を体内に取り入れること。
ここに意味を表示
孤独・一人ぼっちの表現・描写・類語(寂しい・喪失感のカテゴリ)の一覧 ランダム5
本当はちっとも死にたくはないのに、私はあのひとに、死ぬかもしれないと云う手紙を書きたくなった。
林芙美子 / 新版 放浪記
孤独が、風のように鵜飼の心を過ぎ去った。
檀一雄 / 花筐「花筐・光る道 他四編」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「寂しい・喪失感」カテゴリからランダム5
触れ合うことのない深い孤独の底で、今度こそ、ついに本当のひとりになる。 人は状況や外からの力に屈するんじゃない、内から負けがこんでくるんだわ。と心の底から私は思った。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
寂しい・喪失感 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ