笛の音や、うちわや、潮風の風景がゆっくりと夜に映って、まるで燈籠のように流れてゆく

まるでチョコレートの化粧箱の色刷りの絵のような風景

パノラマ風の眺めは何に限らず一種の美しさを添えるものである。

途中、ものすごくすてきな入り江があって、私たちは車を止めてうっとりと見つめた。どうすてきかと言うと、まるで夢のようなのだ。何かが満ちていて、光も、木の色も。なんでこんなすてきなところがこの世にあるんだろう、といつまでも言い合った。

ギヤマン模様のように澄明な猪鼻村のパノラマ

なだらかに裾の広がっている山

卑俗で薄汚い平野の眺め

（ハワイ）みんな特に美しいわけでもかっこいいわけでもなく、単なる薄汚れた人間たちが集って浜辺でごろごろしているだけだ。ちっともすてきではないはずだ。 　でもこの島の魔法はそんなこと全てにきらきらした粉をかけてくれる。みんなすばらしい人で、世界は美しく、人生はよいものだと思わせてくれる。その考えはまぼろしではなくって、もしかして泥の上に咲いた 蓮 のようなものなのかもしれない。

蟻（あり）の塔のように材木を組みわたした暗い坑道口から、泡（あわ）のように湧（わ）いて出る坑夫達

若いハイカラ男やハイカラ女が雑踏にまじってあちらこちらへ歩るいている。流行のみなりをしていそいそと、まるで尾ひれを振ってあるく金魚かなどのようにしなしなと品をつくッて歩るいている。