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兄の事や沙金しゃきんの事を、一度に石火せっかのごとく、思い浮かべた。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:69% 作品を確認(青空文庫)
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フラッシュバック・走馬灯のように蘇る記憶
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前後の文章を含んだ引用
......原すすきはらの向こうから、あるいは築土ついじのこわれをぬけて、続々として、つどって来る。――  次郎は、絶望の目をあげて、天上の小さな月を一瞥いちべつしながら、太刀を両手にかまえたまま、兄の事や沙金しゃきんの事を、一度に石火せっかのごとく、思い浮かべた。兄を殺そうとした自分が、かえって犬に食われて死ぬ。これより至極しごくな天罰はない。――そう思うと、彼の目には、おのずから涙が浮かんだ。が、犬はその間も、用捨はしない。......
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石火(せっか)
石火・・・1.火打ち石を打って出す火花。
2.1が転じて、極めて短い時間や素早い動作のたとえ。「電光石火」
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ある光景が蘇ったのはそのときだった。あまりにも一瞬のことで、今、蘇ったどこかの光景が、いったいいつの、どこで見た光景なのか、分からないほどだった。光代は思わず目を閉じて、一瞬蘇った光景を再現した。必死に目を閉じていると、またぼんやりと、その光景が浮かび上がってくる。  どこ? ここ、どこ?  光代は目を閉じたまま、心の中で呟いた。ただ、浮かび上がってきた光景は一枚の写真のように、いくら別の場所を見ようとしても、それ以上に広がらない。  目の前に若い女の子が二人立っている。こちらに背を向けて、楽しそうに笑い合っている。その向こうには年配の女性の背中が見える。女性は壁に向かって何か話している。いや、違う。壁じゃなくて、どこかの窓口。透明のボードの向こうで切符を売る男性の顔がある。  どこ? どこ?  光代はまた心の中で呟いた。必死に目を閉じると、窓口の上に貼られた路線図が見える。 「あ!」  光代は思わず声を上げそうになった。見えたのは、バスの路線図だった。自分が立っている場所は、佐賀と博多を結ぶ長距離バスの切符売り場だったのだ。  それが分かった瞬間、静止していた光景がとつぜん音と共に動き出す。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
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