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蠅がふたたび、彼と女との汗の臭いを慕って、首のまわりを飛びまわりはじめた。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:39% 作品を確認(amazon)
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蚊・ハエ
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前後の文章を含んだ引用
......平気なのか」司祭はさっきから疑問に思っていることを遂に口に出した。「やがて私たちも同じように死ぬかも知れないのに」 女は眼を伏せて、足もとの叢をじっと見つめた。蠅がふたたび、彼と女との汗の臭いを慕って、首のまわりを飛びまわりはじめた。「わかりまっせん。あっじょん、パライソに行けば、ほんて永劫、安楽があると石田さまは常々、申されとりました。あそこじゃ、年貢のきびしいとり立てもなかとね。饑餓も病......
単語の意味
慕う(したう)
首・頸・頚(くび)
蠅・蝿(はえ)
慕う・・・親しみの気持ちをいだく。
首・頸・頚・・・1.頭と胴体をつなぐ細い部分。頸部(けいぶ)。また、「頭」そのものを指す場合もある。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
蠅・蝿・・・ハエ目ハエ亜目ハエ下目に属する昆虫の総称。羽は二枚で触角は太くて短い。食べ物などにたかり、伝染病を媒介する。長い口先を使って液体などを舐める。幼虫はいわゆる「うじ」。不快なもの、五月蝿(うるさ)いものの代名詞にも使われる。
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