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わずかに俯いた彼の横顔で白く濁った日光が弾け、表情を塗りつぶした。白い凹凸だけになった微笑が、仮面のように被さっていた。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:16% 作品を確認(amazon)
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光に照らされた顔や姿
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前後の文章を含んだ引用
......が近づいてきて、まずミコトと、次にわたしと握手した。彼の掌は、花時計の花粉を吸い取ったように粘ついていた。「よくいらっしゃいました。私が園長です。」 そう言ってわずかに俯いた彼の横顔で白く濁った日光が弾け、表情を塗りつぶした。白い凹凸だけになった微笑が、仮面のように被さっていた。「よろしく御願いします。」 ミコトの方はうまく彼らと対応し始めた。わたしは挨拶のことばで喉を詰まらせながら、ただ何度も頭を下げるだけだった。 何本もの白衣の腕が......
単語の意味
日光(にっこう)
横顔(よこがお)
日光・・・日の光。大陽光線。
横顔・・・横向きの顔。横から見た顔。
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頬に睫毛の影を落とした暗い瞳
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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低地を距てた洋館には、その時刻、並んだ蒼桐 の幽霊のような影が写っていた。
梶井基次郎 / 冬の日
梁から軒先の闇が大きな吊り鐘を伏せたように役者の頭上へ蔽いかぶさっている舞台
谷崎 潤一郎 / 陰翳礼讃 amazon
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彼女の美しさは成熟した女性のそれへと変化していた。以前の彼女の美しさのかげに見えかくれしていたある種の鋭さ――人をふとひやりとさせるあの薄い刃物のような鋭さ――はずっとうしろの方に退き、そのかわりに優しく慰撫するような独特の静けさがまわりに漂っていた。そんな美しさは僕の心を打った。《…略…》それでも彼女が失ってしまったもののことを考えると残念だという気がしないでもなかった。あの思春期の少女独特の、それ自体がどんどん一人歩きしてしまうような身勝手な美しさとでも言うべきものはもう二度と戻ってはこないのだ。
村上 春樹 / ノルウェイの森 上 amazon
裸になると肋骨が浮かび上がり、安物の鳥かごのように見えた
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
でっぷりと肥って、縦より横の方が広く見えそうな軀(からだ)
安岡 章太郎 / 青葉しげれる amazon
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