歌が終わった。《…略…》静けさがやって来た。 おそろしいほどの静けさで、それはさせ子の歌が消えた外側だけの世界ではなく、自分の内側も、からっぼかと思うくらいに静かになっているのを知った。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:30% 作品を確認(amazon)
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静けさ・静寂
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......「朔ちゃん!」 と言って半泣きで私に抱きついてきた。 そのとき、うそではない。全世界がびかーと光った。 目がくらみ、立っていられないほどの光量だった。 そして、歌が終わった。 させ子が濡れた髪、はりついた服のままでおじぎをして、みんな呆然としたまま拍手をした。 静けさがやって来た。 おそろしいほどの静けさで、それはさせ子の歌が消えた外側だけの世界ではなく、自分の内側も、からっぼかと思うくらいに静かになっているのを知った。「何だったんだろう、あれはね。」 私は言った。「朔ちゃん、笑わない?」 弟が言った。「笑わないよ、言ってみな。」 私は言った。「あのとき、幽霊がたくさん、集まっ......
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墓場は完全な沈黙に被われた
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