ベッドのようにただ寝転がればいいわけじゃなく、安易に寝返りをうったりすると、段々重心がハンモックの真ん中に集まりすぎて縄の端が内へ内へと寄ってきて、肩がきゅうくつになるので、完全にリラックスせず、少し気を配りながら寝転がる。太陽が、両方の木が作る葉陰の、ちょうど真ん中の隙間に移動して、日光を真上から直接浴びた。太陽の光には重さがあることを知った。太陽の光は空から柱のようにまっすぐ僕の身体に向かって降りてきて、腕で腹でひざ小僧でじりじりする熱い重みを受け止めたら、動けなくなった。《…略…》太陽が腹の上に乗っかっているせいで去りたくても去れなかった。重さのせいで僕の背中はハンモックをずり下がり、ますますくの字にへこんでくる。ときおり吹く風だけが光の柱を揺るがせ日光の重さをあやふやにした。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 ページ位置:51% 作品を確認(amazon)
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ハンモック
夏の日差し・光
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前後の文章を含んだ引用
......か無くて写真のカットだけ眺めて二、三ページで飽きて下に落とす。水の抵抗を受けながら海のなかを歩いた足はだるくなっていて、足首を組み替えたりしながら目を閉じる。 ベッドのようにただ寝転がればいいわけじゃなく、安易に寝返りをうったりすると、段々重心がハンモックの真ん中に集まりすぎて縄の端が内へ内へと寄ってきて、肩がきゅうくつになるので、完全にリラックスせず、少し気を配りながら寝転がる。太陽が、両方の木が作る葉陰の、ちょうど真ん中の隙間に移動して、日光を真上から直接浴びた。太陽の光には重さがあることを知った。太陽の光は空から柱のようにまっすぐ僕の身体に向かって降りてきて、腕で腹でひざ小僧でじりじりする熱い重みを受け止めたら、動けなくなった。帽子のひさしによって閉じた目だけは守ることができたが、顔の下半分は光をまともに受け唇の水分は乾ききり皮はめくれた。けれど、太陽が腹の上に乗っかっているせいで去りたくても去れなかった。重さのせいで僕の背中はハンモックをずり下がり、ますますくの字にへこんでくる。ときおり吹く風だけが光の柱を揺るがせ日光の重さをあやふやにした。日光の重さに敷かれたまま、僕は眠ってしまうんだろうか。顔の半分だけ徐々に日焼けしながら……? ロタではソンソン村のなかにある上等とはいえないコテージの同じ一室を......
単語の意味
熱い(あつい)
日光(にっこう)
身体(しんたい)
背中(せなか)
腹(はら)
熱い・・・1.温度が高いと感じる。
2.気持ちが高まった状態である。関心を寄せている。「今B級グルメが熱い」
2.気持ちが高まった状態である。関心を寄せている。「今B級グルメが熱い」
日光・・・日の光。大陽光線。
身体・・・人のからだ。肉体。
背中・・・背の中央。背骨のあたり。動物の胴体の背骨のある側。胸や腹と反対の面で、両肩の間から腰のあたりまでの部分。背(せ)。背面。
腹・・・1.ヒトなど動物の、胴の下半部の前面と考えられる側。背(せ)の反対側の部分。また、その内側にある内蔵。
2.(腹の内面にあるものとして)心。考え。感情。気持ち。また、度量や度胸、気力もいう。
3.物の中央の膨らんだ部分。「指の腹」「銚子の腹」など。
4.背に対して、物の内側の部分。
2.(腹の内面にあるものとして)心。考え。感情。気持ち。また、度量や度胸、気力もいう。
3.物の中央の膨らんだ部分。「指の腹」「銚子の腹」など。
4.背に対して、物の内側の部分。
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ハンモックだろうか、粗く編んだ網目状のものに包まれた透明な袋……まるでボンレスハムのようななりをした大きな物体が頭上にぶら下がっていた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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ぎらぎら照りつける陽は私たちの尻の下のコンクリをあたため、すべてに真っ白く反射していた。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
校庭に出たとたん、まるでフラッシュをたかれたようなまぶしさが降ってきた。しばらく目がくらんで、やがていつもの夏景色が見えてきた。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
熱い空気がじっとりと汗ばんだ全身を包んでいた。目を閉じると、まぶたの裏が赤かった。陽に焼けていく。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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山にさえぎられて日照時間が少ない神去村では、梅雨になると太陽の存在を忘れてしまいそうになる。冬のシベリアかっていうぐらい、インインメツメツとしてくる。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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敷島をぷかぷかふかしていた。
林芙美子 / 新版 放浪記
胸ポケットからぺちゃんこのパッケージをまた取り出し、最後に残った一本を抜いて少しためらい、結局口にはくわえず指先に挟んだまま、話しはじめる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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